元野犬の子が家庭に引き取られ、家族となる事も増えてきました。
山で暮らしてきた元野犬のわんちゃんたちは散歩という概念がまだありません。
散歩に連れていってあげたいという人間の思い込みが、元野犬のわんこたちにとってはストレスにしかならない事もあります。
かといって、おうちの中でじっとしていてはわんちゃんもストレスがたまり、精神的にも衛生的にもよくありません。
こちらの記事では元野犬のわんちゃんたちの散歩のコツについて解説しています。
必要な持ち物から散歩時の注意事項まで現役保護員が徹底解説していますので、元野犬のわんこと一緒に暮らしておられる方、これから元野犬のわんこをお迎えしようと思っている方はぜひ参考にして下さい。
散歩に必要なものは?
元野犬のわんちゃんの散歩には、主に以下のようなものをそろえるとよいでしょう。
- リード2本(できれば一本はショルダーリードがベスト)
- うんち袋
- 飲み水
- 夜のお散歩は懐中電灯など
わんちゃんの脱走を防ぐため、リードはそれぞれ違う首輪(首輪は2つしておくことをおすすめします)に一本ずつつけてお散歩に行きましょう。
その他は普通のわんちゃんのお散歩時と同じ持ち物で大丈夫です。
また、雨の日でも関係なく散歩に行きたがる子が多いのですが、飼い主さんが傘をさすことは避けて下さい。
傘はたいていの子が怖がります。また、咄嗟に引っ張られた時など傘があるとわんちゃんを制御できません。
カッパも怖がる子もいますので、雨の日はお散歩は延期をおすすめします。
慣れないうちはハーネスは避ける
ハーネスは犬が後ろむきに引っ張ると、体からスポッと抜けてしまうことがあります。
元野犬の子は全体的に怖がりで、前に進むことを拒否する事も多いため、サイズが合ってないと大変危険です。
抜けて脱走してしまうと、まず自分では確実に帰ってきません。
長い月日をかけて目撃情報を集め、場所を特定し、捕獲という流れになりますので、わんちゃんにも再び大きなストレスをかけることになります。
環境や家族い慣れないうちはハーネスは利用しないようにしましょう。
首輪もいろいろ種類があるけど、ベルト式が一番脱げにくくておすすめだよ!
指が1~2本入るくらいのきつさに調整してね。首輪も緩んでいないか定期的にチェックしよう!
ショルダーリードは肩にかけるタイプのリードで、万が一飼い主さんの手からリードが離れても安心です。ぜひ検討してみて下さい。
どれくらいの時間散歩させるべき?
その子の性格にもよりますが基本的にはおうちに来て間もない時は動くのを嫌がり、すみっこで固まってしまう子も多いです。
それでも少しづつでもお散歩の練習をしていきましょう。
最初はトイレのみ
元野犬の子はきれい好きの子が多く、もともとの生活スタイル上、外でトイレをする子がほとんどです。
おうちに慣れないうちは散歩中の脱走の防止、ワンちゃんを必要以上に怖がらせない等の目的でトイレだけ済ませたらおうちに帰るようにしましょう。
はじめのうちはトイレに行くのすら怖がり、外に連れ出すまでに脱糞してしまう子も多くいます。
慣れるまでは仕方ありませんので、決して叱らずに掃除してあげてください。
夕方~夜の方が安心する子も多い
もともと明るい時間帯を避け、人間から逃げるようにして生活してきた子たちですので、人や車がうろうろしている明るいうちは動きたがらない子も多くいます。
特に通勤、通学などの朝や夕方の時間は怖がりますので、暗くなってから散歩に連れ出すのも手です。
夜ならウキウキで散歩に行くタイプの子もいるようです。
性格によって違いますが、お迎えしてしばらくは一般的には人通りが多い時間は避け、少しづつ環境に慣れてから明るい時間帯にもならしていってください。
お迎えしてから数週間くらいで少しづつ慣れてくる子が多いよ。焦らずにわんちゃんのペースに合わせて連れ出してあげてね!!
草木が多いところを好む子が多い
山で生活していた子たちですので、トイレトレーでトイレをするという習慣はもともとありません。
やはり、自分が生活していた環境に近いような草原や土の上などの環境を好む子が多く、そういったところでトイレをしたがる子が多いように感じます。
慣れてくればトイレトレーで排泄する習慣をつけていくことも出来る子も多くいます。
お散歩コースに自然が多い地域にお住まいの方はなるべく自然の多いところに連れていってあげて下さい。
散歩の注意事項
元野犬のわんちゃんと一緒にお散歩に行く時はどのような事に注意してお散歩すればよいでしょうか。
基本的にビビりの子が多いため、お散歩には細心の注意を払って散歩に行かなければ飼い主、わんちゃんともに怪我をしてしまったり、最悪の場合脱走なども考えられます。
散歩の際に注意するべきことは以下の3点です。
- 人や車などは怖がって固まる事がある
- パニックになると強い力で急にひっぱる
- 首輪やハーネスなどのゆるみを確認しておく
それぞれ詳しく解説していきます。
人や車などは怖がって固まることがある
急に走ってくる子供たちや自転車、大きいトラックやバスなど元野犬ちゃんにとって、これらは恐怖の対象です。
お散歩に慣れていない元野犬のわんこたちは怖くなると、その場で固まる傾向にあります。
狭い道などで車が来た場合、わんちゃんを端に寄せたくても固まってしまうため、なかなかわんこを道の端に誘導するといったことができません。
特に体の大きい子や力の強い子は誘導が大変になります。
散歩道もあらかじめ様々な事を想定して選択するようにしましょう。
パニックになると強い力で急にひっぱる
固まるだけならまだなんとか対応の出来るのですが、本当にパニックになった場合は逃げ出そうと必死になり、かなり強い力で引っ張られます。
こうなると首輪が外れてしまい脱走する、飼い主さんが転倒して怪我をしてしまうなどの事故が考えられますので、リードは必ずしっかりと持ち、また周囲の状況にも気を配りながら散歩してあげて下さい。
人通りの多いところは、慣れてからお散歩するようにしましょう。
首輪やハーネスなどのゆるみを確認しておく
ストレスで痩せてしまったり、換毛期などで毛が一気に抜けた後は首輪やハーネスのサイズが一回り小さくなることがあります。
サイズ調整をせずにそのままお散歩に行くと、上記のようなパニックが起きてしまった場合、わんちゃんの体から首輪やハーネスが抜けて脱走事故につながります。
実際、どんなにきおつけていてもふとした瞬間に脱走事故は発生します。
脱走してしまうと捕まえるにはかなりの時間もかかりますし、わんちゃんも飼い主さんも辛い思いをしなければなりません。
わんちゃんがパニックになると飼い主さんもパニックになって、予期せぬ事故が起こるよ。
リードは絶対に手から離さないで!!
首輪がスポッと抜けてしまう事故もとても多いよ。元野犬の子は脱走したら基本的に戻ってこないから犬具の点検は定期的に行ってね。
まとめ
元野犬の子は臆病な子がほとんどです。
外に出たくても、外は彼らにとって怖いものでいっぱいです。
まずはパニックにならないように飼い主さんがいろいろと気を配ってあげなくてはいけません。
慣れてきたら飼い主さんと共にきちんと散歩を楽しめる子がほとんどですので、その子の性格やペースに合わせて、無理することなく少しずつ外の世界にもならしてあげていって下さい。
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